おねいさんについて
そんな奏多の思惑など、まるっと無視して。

「お姉さん」

少年の周囲に、薔薇の花園が広がる。

「僕、こういう人混みって一人で歩くの苦手で…誰かが一緒だと心強いんです」

「えっ、ま、まぁ…」

灯籠に壁ドンされて、ほんのり頬を染める奏多。

「天神地区に来るの、今日が初めてで(嘘)…この辺りに知り合いもいないし(大嘘)…詳しくないから道にも迷ったみたいだし(超大嘘)」

更には股ドンかます少年。

「僕みたいな子供じゃ心外でしょうけど…お姉さん…案内してもらえませんか…?」

唇が触れそうなほど顔を近づけ、吸い込まれそうな瞳で奏多を見つめる少年。

裸眼で見つめるな!

黒爪ばりの魅了の魔術で虜にされるぞ!

まぁそんな事情など、奏多は知ったこっちゃないが。

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