中距離恋愛
「いいから、俺にプレゼントさせて。
だって今日、誕生日だろう」
そう…旅行の中日の今日が、私の24回目の誕生日だ。

「えっ…。でも…」
迷う私の手を引いて剛が向かったのは、ティーカップのコーナー。
ペアのものから5脚セットになっているものまであって、彼が見ているのはペアのもの。
その1つを指して、
「俺はこれが気に入ったんだけど、夏帆はどう思う?」と聞かれた。

それはどちらかと言うと、剛の好みよりは私の好みに近いデザインのもので、それをそのまま伝えてみた。
「うん。私は好きだよ、
このデザイン。でも、剛の好みとは違うんじゃない?」
すると剛は、
「いいんだよ。
夏帆と一緒に使うから、夏帆好みのものを選んだんだ。
うちで一緒に使おう、このカップ」
「うん」
不意に言われて、嬉しさが込み上げる。
「じゃあ、会計して宅急便を頼んでくるから」
剛はレジに向かった。

私は先に車に戻った。
剛も来て2人で車に乗り込むと、
「夏帆、誕生日おめでとう」と、先程のピアスを渡された。
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