中距離恋愛
頼んだ通り、6時ちょっと前に夕食が運ばれてきた。
今夜のメインは天ざる蕎麦だ。
この地は、蕎麦が有名らしい。
その他には、ポテトサラダと茶碗蒸し·小さな親子丼とフルーツがついていた。
飲み物の2人ともウーロン茶。
剛は「落ち着いてからゆっくり飲むから」と言っている。
食事は美味しかったが、剛がいつもと違うのが気になった。

6時50分ころに仲居さんが来て、御膳を下げてくれた。
その後すぐに女将さんが部屋に来て、
「失礼致します。
本日、奥様のお誕生日と伺いましたので、勝手ながら私どもでケーキを用意致しましたので、ぜひお召しあがりください」女将さんが言うと、仲居さんがケーキと紅茶をお盆に乗せて持ってきた。ケーキは私の好きなモンブランだ。

「わぁ、ありがとうございます」
素直に御礼の言葉を言う。
「それでは失礼致します」
女将さんと仲居さんは部屋を出て行く。
私はモンブランを食べ始める。
すごく美味しい!
「良かったな」
剛の言葉にも、「うん」と頷く。

「そうそう。
俺からもプレゼントがあるんだよ」
剛はそう言うと、バックから小さな箱を取り出して、私の前に置いた。
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