中距離恋愛
「えっ…?!
だって、さっき、ピアス買ってもらったよ」
「そうだけど…。
1番はこっちを受け取って欲しいんだ」
「ん、分かった。
開けてみていいかな?」
「あぁ」
私はリボンをほどき、箱を開けはじめた。
手が震える。
箱の大きさからいってアクセサリーだと思う。
ちょっと期待しちゃう。
中には予想通り、指輪が入っていた。
8月の誕生石のサードオキニス。
意味は¨幸せな結婚¨。

「夏帆。左手出して」
言われるままに左手を剛に差し出す。
箱から指輪を出した彼が、私の左手の薬指に指輪を嵌めながら、

「夏帆。俺と結婚してください。
前にも言ったけど、あいつと付き合っていた過去も含めて、今も、これからもお前を愛していくから」
まっすぐに見つめられて言われた。

大好きな人にプロポーズされた。
すぐに『はい』と答えたいのに、涙が先に出て、言葉が出てこない。

「返事は俺の誕生日までな。
まあ、『YES』しか聞かないけど…」
そう言う彼に、やっと
「ありがとう。
私で良ければ、よろしくお願いします」
そう返事をした。
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