中距離恋愛

~剛Side~

夏帆と初めてあったのは、俺が中学のときのバスケの地区大会。
ちょっと話をしただけだけど、おとなしいけどしっかりしてる子だと思った。まっすぐに俺を見つめる瞳が強く印象的だった。

次にあったのは、大地の高校の文化祭を見に行ったとき。
大地の彼女だった夏帆は、プロの試合の前座でやる俺の高校と高校選抜の試合も見に来た。それはもちろん、大地のいる高校選抜の応援に…
俺の応援ではないことに、なぜかイラだった。
そして、当たり前のように大地の隣に夏帆がいることにもイライラした。

そのときのイライラの原因が分からぬまま、次に夏帆と会ったのは、同じ中学校の同僚·添田先生の結婚式だった。
新婦の友人として来ていた彼女は、薄いグリーンのミニのドレスに、オフホワイトのボレロを羽織り、ハーフアップの髪はドレスと同色のシュシュで纏めていた。
新婦の友人たちによる余興は歌で、夏帆はピアノ伴奏を務めた。
彼女のピアノを聴いた同僚の音楽教師は、
「…すごく上手」
と舌を巻いていた。
ピアノのことなど分からない俺でも、彼女の演奏がスゴイのは分かった。


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