中距離恋愛
夏帆たちの余興が終わると、新婦はお色直しのために席を立った。
その間、団欒の時間になるが、そしたら新郎の友人たちが新婦の友人のテーブルに群がった。特に夏帆のそばに寄る人が多く見えて、なぜかまたイライラした。

「篠田先生も、お若い方々と一緒のテーブルが良かったですよね?」
隣に座る学年主任の吉田先生に声をかけられた。
今日、同じ中学校から参加しているのは、校長·教頭のほかに添田先生と同じく1年生を担当している先生だけ。
その中で、独身かつ20代は俺だけだ。
確かに少々退屈だが、そんなことを言ってはいけない。
「いえ、そんなことありませんよ。
添田先生とは仕事の付き合いなので、プライベートの友達と一緒のテーブルにされても、僕も戸惑ってしまいますし、あちらも困ってしまうでしょうから…」
当たり障りのない答えを返した。

そうして何気なく夏帆の方を見ると、彼女と目が合った。
…ような気がした。

その後、新婦がお色直しを終えてキャンドルサービスにウェディングケーキ入刀·両親への花束贈呈と感謝の手紙…と進み、つつがなく披露宴は終わった。

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