中距離恋愛
それでも、お互いの仕事の都合で思うように会えない。
そんなとき、俺に転勤の話がきた。
場所は県内だけど、新幹線で1時間半かかる場所。同じ県の端と端だ。
せっかく上手くいっているのに…でも、伝えなくちゃならない。

3月上旬の土曜日、待ち合わせたカフェの席に着くなり、
「夏帆、ごめん」
と頭を下げた。

怪訝そうな顔をしている彼女に、翌月からの転勤を伝える。
そして、これから部屋を探しに行きたいことを伝えても、快くOKしてくれた。

夏帆と会うのは久しぶりだ。
今日は最初から部屋探しに夏帆を連れて行くつもりで、向こうの不動産屋にも連絡を入れてあるし、ホテルにも予約を入れている。
せっかくだから、夏帆とゆっくり過ごしたい。

車に乗り、目的地へ向かう。途中、サービスエリアでお昼を食べて、3時間近くかかり、不動産屋に着いた。
条件から割り出してくれた3つの物件を、夏帆と担当者と見て回る。
夏帆と俺では、部屋を選ぶときに見る観点が違うことに気付く。
…将来、一緒に住む部屋を探すときは、彼女の意見を優先させるようかな?家にいる時間は、彼女の方が長くなるのだから…
そんなことを考えたりもした。

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