中距離恋愛
それからすぐ、席を立った。
篠田さんが会計をしてくれるあいだ、3人で店の外で待っていた。

「夏帆、ちょっといいか?」
早瀬さんが夏帆を呼ぶ。
夏帆はそばに行き、2人で何か話し始める。
篠田さんのことでからかわれてるのかな? 夏帆の顔が真っ赤になっていく。

そんな時、会計を終わった篠田さんがきて、夏帆と早瀬先輩を見ると、
「お待たせ!……って大地!
夏帆となに話してる?」
早瀬先輩のそばにいた夏帆を抱き寄せながら言う。

篠田さん、かなりのヤキモキ焼き?
それとも、相手が早瀬先輩だから?

そんな篠田さんに気付いているのが、
「んー。お前がヤキモチ焼くようなこと。
あんなことやこんなこと…、夏帆に教えたの俺だって確認」
彼を挑発するように答える早瀬先輩。

夏帆は首を振りながら、
「ちょっ、剛、ちがっ」
言いかけたが、篠田さんの
「夏帆、行くぞ!」
の声に遮れ、¨違う¨と最後まで言わせてもらえず、そのまま手を引かれて行ってしまった。

振り返る夏帆を、私は手を振って見送った。



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