中距離恋愛
夏帆と篠田さんが行ってしまい、店の前には私と早瀬先輩が残された。



「…じゃ先輩、さような…」
「左紀!お前、今、彼氏いる?」

¨さようなら¨と挨拶をして帰ろうとした私を、何故か呼び止めた早瀬先輩。
しかも¨左紀¨って呼び捨てのうえ、彼氏の有無まで聞かれる。

¨どうして?¨と思う間もなく、
「彼氏なんていませんけど…」
正直に答える私。

「…これから何か予定ある?」
「いいえ!帰るだけですけど」
彼氏いないのに、この時間から予定なんかないってば!

「じゃあ、飲みに誘っても大丈夫だな。
もう少し、付き合ってくれないか?」
「えっと…、私、ですか?」
突然のことに頭が追いつかない。

「ここに、俺と左紀以外はいないけど。
行くぞ!」
そう言われて、断る理由のない私は早瀬先輩について歩き出した。

< 156 / 317 >

この作品をシェア

pagetop