中距離恋愛
先輩が連れて来てくれたのは、隠れ家的なバーだった。
先輩について2人掛けのテーブルに着く。

「左紀、ビールでいい?」
そう聞かれ、
「うーんと。カシスオレンジでお願いします」
と頼んだ。
先輩がオーダーしてくれる。

「素敵なお店ですね」
自然に口に出た。
「あぁ。最近の俺のお気に入り。
ここ、昼間はカフェで、高校の同級生がウェイターで働いているんだ。
たまに夜、バーテンしてる時もあるけど、今日はいないみたいだな」
「…そうなんですね。
いつも1人で来るんですか?」

「そうだな…。大地はいつも1人だな。
まぁ、帰りは2人になるときもあるけど。
はじめから女性と一緒に来たのはないね」
私の後ろから声が聞こえた。

振り返ると、バーテンの格好をした男性が、私たちのテーブルにビールとカシスオレンジとナッツなどのおつまみを置いた。

「そいつが今話した、同級生の木村飛鳥(キムラ アスカ)。
こっちが後輩の植田左紀」
早瀬先輩が木村先輩と私をお互いに紹介してくれた。
私は「よろしくお願いします」と頭を下げた。
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