中距離恋愛
「久しぶりに夏帆に会って、どうでしたか?」
また2人きりになって、私は早瀬先輩に聞いた。

ビールを一口飲んで、
「…うん。綺麗になったな」
と、口にした先輩。
「それに…、変わったな。いい意味で。
俺と付き合ってたときは、頑張って俺の後ろをついて来ていたけど、今は剛の横を歩いてる。…そんな気がした…」
「そうですか…」
私は頷いた。
私も同じように思っているから。

「もう1つ、聞いていいですか?
あの時、なんで夏帆と別れたんですか?
本当に、藤本さんと浮気してたんですか?」
まっすぐに早瀬先輩を見ながら質問した。
先輩も私を見つめる。
先に逸らしたのは早瀬先輩だった。
「…やっぱり左紀にはバレてたか」
そう言うと先輩は、その時の藤本さんとの関係について教えてくれた。

そして思った。
本当のことを夏帆に伝えていたら、夏帆と早瀬先輩は、別れることはなかっただろうと…

それから、しばらく他愛のない話しをしながら飲んで先輩と別れた。

その後、私はF鉄工業に管理栄養士として勤めはじめた。
たまに顔を合わせる早瀬先輩と一緒にバーで飲んだり、1人で通ったりもした。

そうして8月末、夏帆が篠田さんにプロポーズされ、OKしたことを聞いた。




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