中距離恋愛
私が実家に着いたのは、夕方の5時半くらい。

「ただいま」
と玄関を開けると、母は台所で夕食の準備にかかっていて、代わりに「おかえり」と出迎えてくれたのは、2歳下の妹·美冬(ミフユ)だった。

「これ。旅行に行ってきたからお土産。日持ちはするけど、なるべく早く食べてね」
リビングのソファーに腰掛けて、紅茶を出してくれた母にお土産のサブレを渡した。

「わぁサブレだ。ありがとう」
こう言うのは美冬。
「みんなに買ってきたものだから、美冬1人で食べないでね」
釘を刺すが、父と母は1枚食べるのがせいぜいで、残りはすべて美冬が食べるのは分かっていた。

「夏帆、ありがとうね。
それより今日、夕飯食べて行ける?お父さんに連絡したら、早く帰って来れるみたいだから」
「うん、そのつもりで来たよ。
お父さんとお母さんに話しがあるし…。
ところで、今日のご飯はな~に?」
「今日はちらし寿司と茶碗蒸しとサラダとあさりのお味噌汁よ。
昨日は夏帆の誕生日だったし、久しぶりに美冬もいて、家族みんなが揃うから」
嬉しそうに言う母。
< 169 / 317 >

この作品をシェア

pagetop