中距離恋愛
私は美冬に尋ねた。

「美冬が久しぶりにいるって、どういうこと?」
「あー、うん。
時期的に仕事で遅くなったり、友達と食べてきたり…」
言いにくそうに話す美冬。
彼女は私と同じ高校のリゾート観光科を卒業後、地元にある大手のスターホテルグループに就職した。
レストラン事業部に籍を置く彼女は、ホテル内にあるイタリアンレストランのホールを担当している。
有名観光地であるこの場所で、スターホテルと言ったら、さすがにこの夏休みの時期は忙しいみたいだ。
今日はたまたま、シフトで休みだったよう。

「そっか。美冬も大変なんだね」
「まぁ、私が選んだから仕方ないよね。
お姉ちゃんはどう?
保育士さん楽しい?
モンスターペアレントだっけ?そんな親とか、ホントにいるの?」
「んー。
子供好きだから、仕事は楽しいよ。今年はクラス担任になったから、それなりに責任があって大変だけど。
モンスターペアレント?
うちの保育園では、見たことないかな」

美冬の質問にそう答えたけど、それから間もなく私がモンスターペアレントの存在に苦しめられることになりなんて、思いもしなかった…

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