中距離恋愛
「ただいま」
私と美冬が他愛ない話をしていると、父が帰ってきた声がした。

「お帰りなさい」
美冬と一緒に、玄関まで迎えに行く。

「あぁ。
美冬は今日は休みか。
夏帆は、お盆に帰ってきたばかりなのに、珍しいな。
あっ、これは夏帆にお土産。昨日、誕生日だったからケーキだ。
もちろん、美冬と母さんの分もあるからな」
そう言って、駅前のケーキ屋の箱を美冬に渡した。

父はそのまま、自分の部屋へ着替えに言った。
私と美冬はダイニングへ入る。
テーブルの上には、美味しそうな夕食が並べられていた。

「夏帆も美冬も、ご飯になるから手を洗ってね」
母に言われて洗面所へ向かう。
先に手を洗った父が出てきて、ダイニングに向かって行く。
私と美冬も手を洗い、急いでダイニングのテーブルについた。
4人でテーブルを囲む。
お盆のときは、美冬が仕事でいなかったから、4人揃うのは、本当に久しぶりだ。

「じゃあ食べましょうか」
母のこの言葉に、
「いただきます」と挨拶をして、あさりの味噌汁に箸をつけた。

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