中距離恋愛
「4人揃うの、久しぶりだね」
美冬がポツリと言う。
そしてそのあと、
「お姉ちゃん、もっと帰ってくればいいのに」
と言われて言葉も出ない。
美冬、そんな風に思っていたんだ…

「夏帆。
旅行、楽しかった?
誰と一緒に行ったの?」
母が話題を変えた。
「えっ…?」
と返事のつまる私に、
「お姉ちゃん、彼氏でしょう!?」
と言ったのは美冬で、
「なっ、彼氏と旅行?」と、異常に反応したのは父。
母は、そんな父を見て、
「あらっ。
夏帆だって、そろそろ結婚相手を紹介してくれたっていい歳なのよ。
で、どうなの?」
と、ウキウキで聞いてくる。
ここは母に便乗しよう!
このタイミングを逃すと言いづらくなる!

そう思い、
「うん。あのね。
お父さんとお母さんに会ってもらいたい人がいるの。
今お付き合いしてる人。
プロポーズされたんだ」

そう伝えると、母と美冬は
「えっ?ホントなの?」
「お姉ちゃん、ホント?どんな人?イケメン?」
と、なぜかウキウキで聞いてくる。
反対に父は、
「そっか…」と言ったきり、黙り込んでしまった。



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