中距離恋愛
そして、金曜日の夜
剛から電話がきた。

「明日、午前中は部活指導があるから。
こっちを出るときに連絡するよ。夏帆の部屋に寄るから、一緒に行こう。
それよりさ…。
お父さんとお母さんへの手土産、何がいい?
確か、妹もいたよな?」
彼も緊張してるのが分かる。

「分かった。
連絡、待ってるね。
手土産は気にしないでいいよ。
強いて言うなら、母と妹は甘いものが好きかな。
どちらかと言えば和より洋。ケーキやクッキーみたいな感じ。
父は、お酒も飲むけどコーヒーが好きだから、休みの日は母と一緒にコーヒー飲みながらお菓子つまんでるみたい。
だから、洋菓子だけでいいよ。
それよりさ…。明日、剛のお父さんとお母さんの好きなもの教えてね」
「分かった」
それから他愛ない話しをして電話を切った。

いや。
今から、かなり緊張してる。
そんな私を見て早紀が笑う。
「夏帆。今からそんなに緊張してどうするの?
明日は、篠田さんの方が緊張するんだからね。
夏帆が、ちゃんと篠田さんとの結婚を認めてもらえるように、夏帆の親に言うんだからね」

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