中距離恋愛
「分かってる。
でもね、緊張するなって言う方が無理!」
「そうだろうね…。
あっ!私、明日は泊まってくるからね。
夏帆の実家に行ったあと、少しでも2人でゆっくりしてね」
「ありがとう…。
でも、剛は自分の実家に行くと思うよ」
そう答えたけど、早紀の心遣いが嬉しかった。
いつもなら、¨どこに泊まるの?¨と言う疑問をぶつけるのに、それすらも思いつかず、緊張も解けぬまま、夜は更けて行く―

翌日、土曜日。
朝7時に起きて洗濯機を回す。
早紀はキッチンで2人分の朝食を作っている。
今朝はフレンチトーストにカフェオレ·ベーコンと青菜の炒めもの·コンソメスープだ。

「夏帆、出来たよ。食べよう」
早紀に呼ばれて席に着く。
中がフワフワのフレンチトースト·ほどよい苦さのカフェオレ·塩胡椒のきいた炒めもの·野菜の美味しさが詰まったコンソメスープ…早紀の作る朝食はすべてが絶品!
…近い将来、私も剛にこんな朝食を作ってあげられるのだろうか?
ふと、そんなことを考えてしまう。
そんなに私、彼と結婚したいのかな?
それとも、結婚に憧れているだけ…?


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