中距離恋愛
「夏帆。シャワー借りるな」
剛はそう言って、ベッドから起き上がる。

「あっ…うん」
その後ろ姿を見送り、私もベッドから降りて服を来た。
そして、バスルームに向かい、
「タオル置いておくね」
と声をかけた。

バスルームから出てきた彼は、パンツだけ穿いて上半身は裸。
タオルで髪を拭きながら来た。
厚い胸板、割れた腹筋、髪から落ちる雫が妙に色っぽい。
思わず目を逸らせずにいた。
そして、つい1時間前までその胸の中で乱れていたと思うと、急に恥ずかしくなり俯いた。

そんな私を知ってか知らずか、彼はTシャツとジーンズ姿に戻っていた。

「夏帆。今日はありがとな。
明日は1時に迎えにくるから」
そう言われて「うん」とだけ答えた。
やっぱり彼氏の両親に会うのは緊張する!
「大丈夫だよ。
夏帆は俺が選んだんだから。自信持っていいよ」
そう言うと、ギュウッと抱きしめてくれた。
そして、私の唇に軽くキスをして、実家に帰って行った。

それから私もシャワーを浴びて、1人淋しくチューハイを飲みながら夕食を食べて、静かに眠りについた…


< 186 / 317 >

この作品をシェア

pagetop