中距離恋愛
私の住むアパートから彼の実家までは、30分強かかる。
着くまでドキドキしっぱなしなのは、言うまでもない。

「夏帆。そんなに緊張したくても大丈夫だよ」
剛はそう言ってくれるけど、こればっかりは無理!
緊張MAXで、剛の実家に着いた。

「今日も両親と妹…まぁ俺の家族が揃っているから」
そっか…剛、妹がいるんだ。
そんなことを思いながら、彼に着いて行った。

「ただいま!
彼女、連れて来たよ!」
玄関で剛が叫ぶと、彼のお母さんが出て来て、私たちを和室に案内してくれた。
そこには、彼のお父さん と妹らしき人が座っていて、剛と私も、お母さんに勧められるまま腰を下ろした。
お母さんは、お茶をいれに席を外した。

お母さんがお茶を配り終わったところで、剛が紹介を始めた。
「こっちが、俺の父と母と妹の葵」
私は俯いたままで、彼の家族を直視できない。

「彼女が柳沼夏帆さん。俺の婚約者」

「はじめまして…」
そう言おうとした私の声を遮るように、
「あ~!やっぱり夏帆さんだ~!」
と言う声が響いた。

声の主は、剛の妹の葵さん。
私はそっと彼女を見た。




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