中距離恋愛
「…そうなんだ」
呟いた剛。

「そうそう。
美冬ちゃん、泊まりに来てくれたこともあったわね。すごく礼儀正しい子よね。
その美冬ちゃんのお姉さんなら、大丈夫ね。
夏帆さん。剛のこと、よろしくお願いします」
彼のお母さんは、そう言って私に頭を下げた。

私も頭を下げる。
そして、手土産のロールケーキの箱が目に入り、慌てて差し出した。
「…すいません。
これ、フルーツロールケーキです。皆さんの口に合えばいいんですが…」
「あー!¨milk¨のロールケーキだ!
このお店のケーキ、すごく美味しいんだよ!何回か、美冬も持ってきてくれたんだけど」
「あら、そうなの。
じゃあせっかくだから頂きましょうか?
切ってくるわね」
お母さんはそう言ってキッチンへと行った。
そして、ロールケーキと紅茶をトレイに乗せて戻ってきた。

紅茶を一口飲んで、お父さんが口を開いた。
「美冬さんには、私も会ったことがある。
葵とも気が合うし、いいお嬢さんだ。
夏帆さんは、その美冬さんのお姉さんで、剛が選んだ人で、葵と母さんが認めた人だ。
私が反対する理由はない」



< 192 / 317 >

この作品をシェア

pagetop