中距離恋愛
「…どこまで送ればいい?」
大地さんの問いに、住所とマンション名を伝える左紀。
ナビで場所を確認して、大地さんは車をスタートさせた。

5分ほど走って、マンション前に到着。
荷物を降ろしてもらい、2人でお礼を言った。

「俺も帰り道だから、気にしなくていいよ。
…それより夏帆。婚約おめでとう」
大地さんにそう返されて
「あっ。ありがとうございます」
と、また頭を下げた。

「剛のやつ、よほど嬉しいんだろうな。上機嫌で電話してきて、スピーチ頼んできたよ。
…ったく。俺が夏帆の元 カレだって、忘れてるんじゃねえ?」

「…えっ、ああ…。
すみません。スピーチ、よろしくお願いします」
また頭を下げる。

「篠田さんの方のスピーチは、早瀬先輩なんだ。
私、夏帆の友人代表を頼まれたんですよ。
…良かったら、合同でスピーチしません?」
大地さんに提案するのは左紀。

「おぉ!それも楽しそうだな」
左紀の提案に、ノリノリで答える大地さん。

左紀と大地さんにかかったら、どこまでが本気で、どこからがからかわれているのか分からない。

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