中距離恋愛
「好き…って言うか…。
うん、好きです!
夏帆さんの初恋の相手がお兄ちゃんなら、私の初恋の相手は大地さんなんです!」
葵ちゃんはキッパリと言いきった。

「ねぇ葵。
大地さんって、さっき会った人?」
話を聞いていた美冬が、葵ちゃんに尋ねる。

「えっ…!あぁ、そうだよ」
「そっか。うん、カッコイイよね?
今も好きなんでしょ?」
「何、美冬ったら…
う~ん。好きって言うかドキドキするよ」
「それが¨好き¨じゃないの?」
「そうなのかな?
…それより、どうしてこの辺にいたんだろう?
大地さん、実家から通ってるはずなのに…」

美冬と葵ちゃんの会話を聞いて、私と左紀には大地さんがこの近くにいた理由が分かる。
でも、大地さんのことを好きらしい葵ちゃんに、その理由を教えていいのか…?
左紀の方を見ると、軽く頷いて葵ちゃんに話しかけた。

「…ごめんね葵ちゃん。
今、早瀬先輩と私、同じ会社で働いているの。
まぁ私は、委託の管理栄養士なんだけど…。
ちょうど今日は帰り時間が一緒で、女子会の買い物をするって言ったら、車で荷物を運んでくれたんだ。
だからだと思うよ」
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