中距離恋愛
男女一緒にやって来るのは剛の中学だろう。
その剛は、生徒がバスに乗り込む前に注意事項を話している。

話を聞いている女子生徒の1人が、剛の車のそばにいる私の存在に気付く。

「篠田先生。
先生の車のところにいるのって、先生の彼女?」
その声に、生徒たちの好奇心に満ちた視線が私には集中する。
どうしていいか分からずにいると、剛がそばまで来て私の手を引く。
そして、校長先生らしき人の前まで連れて来られた。

「校長先生。こんなところですみません。
以前に話をした、私の婚約者です」
いきなり紹介された。

「はじめまして。
柳沼夏帆と申します。
本日は、男女共に優勝、おめでとうございます」

私が自己紹介すると、

「えーっ。篠田先生、結婚するの?」
「彼女、かわいい」
「先生の彼女さん、わざわざ応援に来てくれたの?」
などなど、生徒たちが騒ぎ出した。

「はいはい!みんな静かに!」
剛が言うと、すぐに静かになった。

「優勝祝いだ。
5分だけ、質問に答えてやる。
ただし、質問は順番に」



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