中距離恋愛
「夏帆も食べたら?」
「うん」
私は残った海苔弁とサラダ、それにスープを作って食べ始める。
そんな私を、彼はジッと見つめる。

「…剛。
そんなに見られたら食べにくいよ」
そう文句を言うと、
「ごめん。
でも、会うの久しぶりだし、かわいい夏帆のこと、こうしてずっと見ていたい」
彼らしくない言葉を返された。
「……………」
それには何も言えなくなって、お弁当を食べ続けた。

私が食べ終わるのを見計らって、剛がティーパックの紅茶をいれてくれた。
自分の分と2つをテーブルに置くと、彼は私の正面に座る。
そして、真っ直ぐ私を見つめて言う。
「夏帆。俺に話すことがあるんじゃない?」
と…。

剛が聞きたいのは、小暮さんにストーカーされていたこと?
大地さんが剛の了解をもらったと言っていたから、剛も知っているはずだし。
私の口からは、何も説明していない。

そう思った私は、
「あっ、うん…。
あのね…」
そう言って、小暮さんと付き合ったことから、園児の親戚として再会したこと、それからストーカー的に後をつけられたり、待ち伏せさるたこと。

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