中距離恋愛
ちょっと待て、左紀!
俺の方がビックリだ!

そんなのお構いなしに、バックにお泊りセットを詰める左紀。
準備が出来ると、俺と一緒に部屋を出る。

「いいのか?夏帆ちゃん」
「うん、大丈夫。
今の夏帆には、1人で考える時間が必要だから。
これは、夏帆の未来のことだから、夏帆がちゃんと答えを出さないといけないことなの」
きっぱり言う左紀。

しかしその後、少し甘えるように俺を見上げる。
そして言う。
「ごめんね、飛鳥さん。
夏帆が幸せになるのを見届けたら、私も、自分の幸せを掴みに行くから」
「えっ…?」
「飛鳥さんの未来には、私はいない?」
「……………」
「……………」
「いや…。
左紀にいてほしいって思っているよ」
思い切り左紀を抱きしめた。

「良かった…。ありがとう」
「うん」
「でも本当、優柔不断な親友を持つと、苦労するなぁ」
「そうなんだ…。
でもさ、左紀。
夏帆ちゃんが、剛も大地も選ばないってことはないのか?」
「ううん、それはない!
夏帆を幸せに出来るのは、篠田さんか早瀬先輩のどちらかだよ」
「そっか」

それならば…
左紀を幸せに出来るのは俺だけだと信じたい。


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