中距離恋愛
その翌日、私は剛に電話をかけた。

「左紀と木村さんに立ち会ってもらって、大地さんから5年前の話を聞いたよ」
『そっか。
聞いて、夏帆はどう思った?
後悔してない?』
「後悔は……してる。
どうして信じられなかったのかなって…」
『で…どうする?』
「うん…。
しばらく1人で考えたいけど…いいかな?」
『あぁ。
じゃあ、夏帆から連絡がくるまで待つから。
それまで、俺からは連絡しないよ。…どんなに夏帆が恋しくなっても』
「剛…」
『じゃあな夏帆。
寒くなるから風邪ひくなよ』
「…剛こそ。
ご飯ちゃんと食べて、睡眠時間もしっかりとらなきゃダメだよ」
『なんだよ、それ。
母親みたいだぞ』
「母親って…」
『うそだよ!
なんかキリがないから、もう切るぞ!
じゃあな』
最後に剛がそう言って電話は切れた。

私が結論を出すまで、もう剛の声も聴けない…
そう思うと、やっぱり淋しい…

しかし、そんな感傷に浸る間もなく私の携帯がなる。
登録のない番号…
いつもなら出ないのだけど、そんなことも考えずに通話ボタンを押してしまう…


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