中距離恋愛
大地さんの話に、嬉しさを隠せない。

私が剛を¨好き¨だと感じたとき。
剛も同じように、私を意識してくれていたなんて…

『5年前の、俺の言い訳だけ聞いてもらうなんてフェアじゃないからな。
…俺より前から、剛は夏帆のことを思っていたんだよ』
「……………」
『その事実も含めて、ちゃんと考えろよ』
「……………」
『……………』
「…分かりました。
ありがとうございます」
『もう俺からは連絡しないから。
お前の気持ちが決まるまで待つよ』
「はい。
ちゃんと考えて答えが出たら、私から連絡します」
『分かった。
でも、長い時間は待てないぞ。
俺にも、返事を待たせてる人がいるから。
じゃあな』
大地さんがそう言って、電話は切れた。

剛も、
大地さんも、
自分が不利になることを分かって、それでも真実を、本当の気持ちを私に教えてくれた。

2人のその想いに応えるためには、私自身がきちんと答えを見つけなければならない。

これから、苦楽を共にして、人生を歩いて行きたいのは、剛なのか。
それとも、大地さんなのかを。




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