中距離恋愛
約1ヶ月ぶりに見る彼。
やっぱりカッコ良くて、周りの女性の視線を集めている。

私が近づくと、彼が気づいてくれた。
彼の前の席に座ると、先程の女性たちの鋭い視線が刺さる。
でも、そんなことを気にしてられない。

「私が時間を言ったのに待たせてしまってごめんなさい」
最初に頭を下げると、
「夏帆が謝ることないよ。俺が早く来すぎただけだし、夏帆は時間に遅れてないんだから」
そう優しく言ってくれる。そして、
「答えが出たんだろう」
そう言われ、
私は¨うん¨と頷いた。

沈黙が流れる。
私から言わなくちゃいけないのに、言葉が出てこない。

「俺じゃないんだろう」
彼が言う。

私はハッとして彼を見つめる。

「俺じゃなくて、あいつを選んだんだろう。
最初から分かってたよ。あいつを選ぶって…。
でも、ちゃんと夏帆の口から、夏帆の言葉で聞かせて欲しいんだ。
そうしたら…
俺もちゃんと諦められるから」
そう言う彼は、やはり少し悲しげで…
見ている私も切なくなるけど、私なりの別れの言葉を告げた。



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