中距離恋愛
でも、これから私は、彼と一緒に家族を作っていくんだ。
そう強く思った。

食後の片付けは、母と美冬がやってくれた。
私は先にお風呂に入らせてもらう。
念入りに身体を洗い、髪もしっかりトリートメントし、すぐにドライヤーで乾かす。
その後は顔のパック。
…一番の主役の日。
綺麗に見せるための努力は怠らない。

寝不足にならないために、11時前には布団に入った。
すぐには眠れないが、目を閉じる。
彼と出会ってからの、いろいろなことが思い浮かぶ。

夕食時、2人の間にあったことを何も知らないはずの父の言葉も思い出す。
「夏帆。お前のこれからの人生、楽しいことばかりじゃない。
楽しいこと以上に、辛いこともあるはずだ。
それを2人で乗り越えながら、夫婦になって行くんだ。
もし2人でも無理そうなときは、いつでも頼ってこい。
いつまでも、俺はお前の父さんなんだから」

その言葉に、父の想いがすべて入っている気がした。

いつも見守っていてくれた両親への一番の親孝行は、私が彼と幸せになることだと、強く思った。



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