中距離恋愛
私もその2人の前で正座をすると、深く頭を下げて言う。
「お父さん、お母さん。
今までありがとうございました」

そして頭を上げると、苦虫を潰したような父の表情が見えた。

何事かと思って、美冬も見に来る。
「あ~、お姉ちゃんいいなぁ。私も結婚するとき、それやりたい!」

そう言う美冬に、
「なぁに?美冬にもそう言う相手がいるの?」
と聞く母。
父の表情を見て、
「…いや、いないけど」と言葉を濁した美冬だが、私たちの式を担当して下さっている菊池さんといい感じなのは、私も彼も知っていた。

そんなことをしていると
♪ピンポ~ンと玄関のチャイムがなる。
時間的に、彼が迎えに来てくれたのだろう。
急いで玄関に行くと、やはり彼だった。

「おはよう夏帆。
ちょっと早いけど大丈夫か?」
そう言う彼に、
「おはよう。大丈夫、すぐに行けるよ」
と答えていると、すぐに3人がやってきた。

「お父さん、お母さん、美冬ちゃん。
おはようございます」
3人にも、しっかり挨拶する彼。

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