中距離恋愛
「久しぶりだな、昴。
で、なにをしてるんだ?」
上から聞いてくる早瀬さんに言葉がつまる藤田くん。
「あっ、えっと…。
か、彼女を送って行こうと思って…」
そう言って私に近づいてきた。
思わず私は距離をとる。

「昴の彼女?…じゃないよな?
避けられているし、さっきの話しも聞こえたし」
「………」
さすがの藤田くんも、図星をつかれて何も言えないみたい。
さらに次の言葉には、私も衝撃を受けた。

「それに彼女…柳沼夏帆は、俺と付き合っているから!」

「えっ、ええーっ?」

藤田くんの驚きの声が響く。
私は驚き過ぎて、声を出すことも出来ない。
そんな私に早瀬さんは口パクで¨話しを合わせて¨と言っている。
私は頑張って、首を縦に振った。

「ちょ…待って!柳沼ちゃん。マジで大地先輩と付き合っているの?」
私は「うん」と頷いてから、目線を早瀬さんに向けた。
私の目線を受け、早瀬さんが話し出した。

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