中距離恋愛
「夏帆と付き合ってるってなれば、俺のファンから夏帆が攻撃されると思って内緒にしてた。
でも明日から文化祭だし、やっぱり彼女と回りたいからな。
夏帆のことは俺が守ればいいから、内緒にするのはやめた。
…と言うことで、夏帆、帰りぞ!
昴。俺の彼女にあまりちょっかい出すなよ!」

そう言うと、早瀬さんは歩き出した。
私も急いで彼の隣に並んで歩き出す。
校門を出たところで、私は早瀬さんに
「あの。ありがとうございました。
助かりました」
と頭を下げた。

「いや、大丈夫か?
こっちこそ、勝手に彼女にしちまって悪い。悪いついでに、しばらく彼女になってくれないか?
もちろん本当の彼女じゃなくてフリでいい。
君も昴から離れられるし、俺も他の女子からつきまとわれなくて済むから一石二鳥だと思うんだけど、どうかな?」
「………」

突然の早瀬さんの提案に戸惑う。
でも、少し考えた。
早瀬さんが藤田くんにああ言ってしまったのだから、それらしくしないと不自然だろう…

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