中距離恋愛
「……えっ?」
「…いや、だから…。
…私なんかでいいんですか?」
「…なんで?
俺が夏帆がいいって言ってるんだけど」
「…だって、私。
大地さんが言うように、付き合ったことないし、免疫ないし、男の人苦手だから…。ほかの人より恋愛のペース、すごく遅いですよ。
…それでも、いいんですか?」
「…ほかの人って、誰かと比べてるの?」
「………」
「……ん?」
「…えっと。
周りの友達とか…、大地さんが今までに付き合った人?…とか…」
「…そんなこと、気にするんだ?
俺、夏帆のペースに合わせるって言ったよね。
ゆっくりでいいよ。
夏帆が俺のことを好きになってくれて、触れていいよって言ってくれるまで待つよ。
…とりあえず、ここからの帰り、手を繋いでみるか?
もしイヤだったら、正直に言って」

大地さんの優しさに、思わず「うん」と頷いた。
そしてファミレスからの帰り道、初めて手を繋いで歩いた…

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