秘め恋*story3~パート先で…~
「なつみちゃん、おはよー。」
「知代さん、おはようございます。」
パート先に着くと、ロッカーに荷物を置きにいくとパート仲間の知代さんが先に来ていた。
「昨日の夜、暑くなかった?もう、蒸し暑くて寝れやしないわよー。」
「ほんとほんと。
異常気象ってやつですかねぇ。」
二人で他愛もない話をしていると、店長がやってきた。
「お二人さん、今日から新しいバイトの子入るから、よろしく頼むよ!」
「バイトの子ですか?」
「夏休み入った高校生なんだけどね。
ほとんど裏方だろうけど、色々頼むよ。」
「店長の頼みなら仕方ないなー。
この知代さんにお任せなさい!」
「あはは、知代さん頼もし~!」
知代さんは、ここの従業員の中でも一番の古株で店長でさえもよく頼っているくらいの人。
私も入ってから知代さんに指導をしてもらった。結構しごかれた記憶…
高校生のバイトかぁ。
知代さんの指導についていけるかなぁ。
なんて心配しながら朝礼の為、店内へ移動した。
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「黒木 和人です。夏休み中の間ですが、よろしくお願いいたします。」
そう言って丁寧にお辞儀したのは、新しいバイトくん。
背がこれでもかってくらい高くて、とても爽やかな男子高校生だった。
短い髪はちゃんと黒くて、少し日に焼けてる感じが体育会系を思わせる。
それになんといっても、一番目を引くのは…
「あらやだ、イケメンじゃない?」
隣にいた知代さんが小さい声で耳打ちしてきたので、素直に頷いた。
キリッとした眉に整ったパーツ。
ヒーローものの主人公みたいなイケメンだ。
うちの大地もこんなイケメンなら、多少勉強出来なくても他でやっていけそうな…
「で、裏方が主な担当だけど人手不足なので接客と品出しもしてもらおうと思ってるから…
指導係を…金沢さん、頼むね!」
「はい。……………えっ!?私ですか!?」
「あれ?迷惑? 」
「いえ、そんな。」
「はい、じゃあ宜しく頼むね。はい、それでは解散!」
息子の将来を考えていたら、まさかの指導係に任命されてしまった。
ちりちりばらばら、みんな持ち場へと移動していくなか、私とバイトくんは二人顔を見合わせた。