秘め恋*story3~パート先で…~
「えっと、黒木くんだっけ。
私、金沢って言います。よろしくね。」
「はい、よろしくお願いいたします!」
わぁ…なんて爽やかな笑顔なんだ。
おばちゃんには眩しすぎるわ。
この子、モテそうだな。
なんて、黒木くんを見上げながら、しみじみ思っていた。
それから、今日は初日というわけで色々とスーパーの中を説明して回ったり、品出しの手順とかを教えていった。
「黒木くん、お昼休憩しよっか。」
「はい!」
ほんと、いい返事。
親御さんのしつけが良いんだなぁ。
私も見習わないとな。
なんて感心しながら、パパッと作ってきたお弁当を開く。
「あ、黒木くん、お昼は?」
「あ、これです。」
と言って、隣のイスに座ってコンビニのおにぎりの入った袋をブラブラさせる黒木くん。
そんな姿に私の母親心がむくっと…
「だめだめ、それだけじゃ。育ち盛りなんだから、ちゃんと食べないと。はい、これあげるから。」
私は開いた自分の簡単弁当を黒木くんの前に差し出した。
「いえ、そんなっ。金沢さんのお昼ですから」
「子どもが遠慮しないの。ほら、早く食べなさい。私はお惣菜のおにぎりもらってくるし。」
「あ…はい。
じゃあ、お言葉に甘えて、頂きます。」
私が肝っ玉母ちゃんみたいな口調でそういうと黒木くんはちょっと困ったように笑って頂きますをした。
よしよし、ちゃんと食べて育ちなさい。
それから私はお惣菜コーナーへおにぎりを買いにいった。
おにぎりを持って帰ってくると…
「金沢さん、すっごい旨かったです!
ポテトサラダ、俺の好きな具ばっかで最高ですっ。」
ーーーーーきゅん。。
無邪気な笑顔にただただ、きゅんとしてしまった。
なに。なに?
いやいや、息子と変わらない子にキュンとかないでしょ。
「く、黒木くんは何年生?どこの学校?」
自分でごまかすようにおにぎりを頬張りながら、話題を振った。
「俺、西高の2年です。」
「え、西高?うちの息子も西高の1年なの。」
「そうなんですか、偶然ですね。」
「うちのバカ息子、見かけたら声かけてやって?大地っていうから。」
「はい。」
優しく笑った黒木くんにちょっとドキッとしたけど、気のせい②。
それから、午後も仕事を教えていった。