秘め恋*story3~パート先で…~
黒木くんがバイトで入って2週間が経った。
若いからか、彼はどんどん仕事を覚えてくれて働きぶりは本当に良かった。
指導係なんて全くと言っていいほど、役割を果たしていなかった私。
それでも、彼は必ず私を頼ってきて…
「なつみさん、こんな陳列で大丈夫ですか?」
「うん。OK!センスが光ってる!」
私がそう言ってOKを出すと、すごい嬉しそうに笑う。
そのたびに私は胸がくすぐったくなる。
そんな彼がレジに立った日には、常連のおばちゃん達に可愛がられていた。
若いママさんなんて、メアド交換しないかなんて勢い。
そんなモテモテの彼を見られなくて、黙々と品出しする私。
ヤキモチなんかじゃない。
ただ、育ての親みたいな心境なの。
ーーーーーーー
そんな毎日が続いたある日。
私はその日、いつも以上に気分良く仕事をしていた。
「あら、なつみちゃん、
今日は一段と笑顔ね~。」
「え~?そうですか~?」
そうなんだろう。
自然と笑顔にもなるよね。
だって今日はご褒美の日だからね。
ご褒美の日っていうのは、月に2回、パートの帰りに、大好きなアイス屋さんに寄り道するっていう日。
唯一の楽しみと言っても過言じゃない。
「お疲れ様でした~。お先失礼しまーす。」
今日も1日頑張った!
やった。アイス♪♪
ルンルン気分で寄り道をしていた私。
そんな日に限って、嫌な事が起きる。
それはアイス屋さんまであと5分くらいの所を歩いてる時だった。
「あ、おねーさん、あーそぼ。」
げ。
振り返ると、
チャラッチャラした若い男がニコニコしながら立っていた。
この年でナンパに遭うなんて…
私もまだイケるのかな?
って!そんなこと言ってる場合じゃなくて!
「忙しいから、ごめんなさいねー。」
「そんなこと言わないでさー俺と遊んでよ。」
「おばさんと遊んでも楽しくないから。」
「俺、年上好きー♪」
あ、諦めてくれない。。
今の子ってこんなに根気強いの?
ゆとり世代とかなんとかじゃないの?
って、感心してる場合じゃなくて!
ガツンと言ってやろう!と意気込んだ…その時
「俺のツレになんか用すか?」
目の前にドンと黒い影が現れた。