秘め恋*story3~パート先で…~
「く、黒木くん?」
「なつみさん、大丈夫でした?」
驚いて見上げると、背の高い黒木くんが心配そうに私を見下ろした。
見下ろされて、ドキドキする私ってどうなの?
「大丈夫。あ、ありがとう。」
「良かった。あいつ、しつこかったですね。」
ナンパ男が去っていった方向を見ながら、髪をクシャッとする黒木くんを思わずぽーっと見つめてしまった。
カッコイイ…
「なつみさん?」
わぁっ。。
ふと気づくと、目の前で黒木くんが私の顔を覗き込んでいた。
やだ。顔が赤くなってるかもっ…!
「く、黒木くん、どうしてここに?」
平然を装って…ね。
「俺、こっち帰り道で、アイス食って帰ろうと思って…そしたら、なつみさんが絡まれてるから…ビックリしましたよ。」
「あはは、そうなんだ。私もちょうどアイス食べて帰ろうと思ってねー。」
「ホントですか?じゃあ、行きましょう!」
「え、うん。あ、ちょ…」
言うが早いか、黒木くんはキュンとするような嬉しそうな笑顔を見せて、私の手を取ってアイス屋さんへ歩き出した。
ちょ、ちょ、て、て、手っ。。
恥ずかしいよりドキドキが勝ってるっ。。
それから、アイス屋さんへ入ってからも注文をして席に着くまで私の手は、黒木くんの大きな手に握られたままだった。
もうその間、私はいい年してモジモジと緊張…
あの、でも…
どうして黒木くん、私の手を握ってるんだろ。
何が楽しくてこんなおばちゃんの手なんか…
そんな疑問を巡らせながら、二人でアイスを食べた。
私はお気に入りの
ストロベリー&チョコクッキー味。
黒木くんはビターチョコクランチ味。
聞くと、なんと黒木くんも無類の甘いもの好きらしい。
特にここのアイスは大好きなんだって。
意外な共通点を見つけて、ちょっと嬉し。。
ニヤニヤしながら、ちょっと柔らかくなったアイスの所を小さなスプーンで混ぜてると…
「なつみさん、端のとこ垂れてます。」
「え、うそ………」
と、コーンを持ち上げると…
ぺろっ。
え?
「旨いですね、そっちも。」
ニコッと爽やかに笑った黒木くん。
何でもないように私のコーンの端に垂れていたアイスをペロッとした彼。
どうしていいか分からず、とりあえずアイスの続きを味わう私。
ど、どうしよう。
ドキドキが止まんないんだけど。
この子、可愛いことばっかりするんだけど。
心臓もたないんですけど。
それから私は心のなかでひたすら叫んでいた。