キミが、すき。




「遅いで!華恋<カレン>っ」


お母様がお怒りでした。


「ごめんって!あ、ジャムとってぇ」

「ほんま…朝から騒がしいなぁ、アンタは」


ジャム瓶を手渡して貰って、食パンに付ける。
食器を洗っているお母さんはあたしに背中を向けたまま、


「階段から落ちかけるわ、洗面所水浸しにするわ。…寝惚けてるんか?」

「いつもの事やんか」

「ドジって言ったら可愛いもんやけどな、言い方変えたらアンタ…」

「なに?」


お母さんはあたしの方に振り返る。



「間抜けや」

「…………。その話やめよ、お母さん」


虚しくなるわ。
食パンを口に頬張り、あたしは席を立った。


「ごちそうさま」

「時間ないで、準備急ぎや」

「はーい」


ダイニングから飛び出して、二階に駆け上がる。

最後の一段でこけ掛けるが、手をついてなんとか扱けずに済んだけど……。
それと同時に、そうたが部屋から出て来た。

ランドセルをしょって。



「お姉ちゃん、走ってたらいつか落ちるで?」

「そうやなぁ。落ちたら大変や」

「…他人事みたいに言うな」

「ごめんごめん」


入れ違うようにあたしは階段から上がって、そうたが階段を降りていく。
早よ準備しな…。


部屋に入って、あたしは鞄を握った。



< 2 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop