キミが、すき。
「遅いで!華恋<カレン>っ」
お母様がお怒りでした。
「ごめんって!あ、ジャムとってぇ」
「ほんま…朝から騒がしいなぁ、アンタは」
ジャム瓶を手渡して貰って、食パンに付ける。
食器を洗っているお母さんはあたしに背中を向けたまま、
「階段から落ちかけるわ、洗面所水浸しにするわ。…寝惚けてるんか?」
「いつもの事やんか」
「ドジって言ったら可愛いもんやけどな、言い方変えたらアンタ…」
「なに?」
お母さんはあたしの方に振り返る。
「間抜けや」
「…………。その話やめよ、お母さん」
虚しくなるわ。
食パンを口に頬張り、あたしは席を立った。
「ごちそうさま」
「時間ないで、準備急ぎや」
「はーい」
ダイニングから飛び出して、二階に駆け上がる。
最後の一段でこけ掛けるが、手をついてなんとか扱けずに済んだけど……。
それと同時に、そうたが部屋から出て来た。
ランドセルをしょって。
「お姉ちゃん、走ってたらいつか落ちるで?」
「そうやなぁ。落ちたら大変や」
「…他人事みたいに言うな」
「ごめんごめん」
入れ違うようにあたしは階段から上がって、そうたが階段を降りていく。
早よ準備しな…。
部屋に入って、あたしは鞄を握った。