キミが、すき。
「行ってきます!」
そう声をかけた時には、お母さんも仕事に行く準備で返してくれなかった。
……何それ虚しい。
そんな事を考えながら家を出る。
学校までの距離はそこまで遠くない。
ただ寒い。
……あ、前歩いてるの……。
「おはよぉ!!亜季<アキ>!」
「わっ!おはよ、華恋」
そこにおったのは、同じ小学校卒の亜季。
「華恋は今日も元気やなぁ」
「そう??」
微笑んで頷く亜季に、笑顔を返す。
二人で並んで学校へ向かう。
今日は天気が良い。
桜が足元に散っているのを踏みながら、特に何を話す訳でもなく足を進める。
ふと、何かを思い出したように、亜季はこちらを向いた。
「昨日の入学式の時さ、部活の見学できるって話してたやん?華恋は部活はいるん?」
「部活?…あー、全然考えてなかった」
「そうなん?」
「うん」
亜季は長いストレートの髪を揺らして、「へえ」と呟く。
「亜季は?」
「私?……運動は苦手やし…入るとしても文化部かなぁ」
文化部…。
何があったかな?
よく憶えて無いけど、多くもなかったと思う。