機械人形は、ひとり、語る。(短編)
私は、ただ愛されるために生まれた。
精巧に作られた、「機械人形」。
「人間」たちは、もういない。
彼らは勝手に滅んでしまった。
ここは「人間」が作り、残していった「機械人形」の世界。
私とあなた。
同じカタチに見えるけど。
私はあなたのように、あたたかな赤い血をめぐらせてはいないの。
私に触れてみる...?
ほらね。
わかるでしょう。
死人のような私の体。
悠久の時を生きる。
死んだように、生きてきたわ。
ずっと、長い時間...。
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