CHECKMATE
Prologue◇最悪な出会い
太陽が少し西に傾き始めた頃。
とあるビルの入口に1人の若い男が立っていた。
「ここが新しい潜窟か」
差ほど高くないビルを見上げ、呟いた男。
片方の口角が僅かに上がり、嘲笑うような笑みを浮かべた。
軽く首を回しながら指をワキワキと蠢かせ、男の瞳に熱が籠る。
軽い足取りで階段を上り、2階のとある一室の前で立ち止まった。
男は軽く一息吐き、静かに扉を開けた。
僅かに聴こえる程度のBGMが流れている室内。
所々に観葉植物が置かれ、明るい木目色の床材に柔らかい色合いの壁に囲まれた部屋。
一見、お洒落なカフェかヘアサロンかと勘違いしそうな室内に、柄の悪い男が5人。
四角い卓を囲むように4人が座り、残る1人は入口のカウンターに立っていた。
若い男の登場で、和やかな雰囲気が一瞬で消え失せた。
けれど、それさえも予測していたかのように、彼は入室と同時に人差し指を口元に当てていた。
8つの瞳は若い男の一挙手一投足を見据えている。
足音も立てず、獲物のもとへじわりじわりと歩み寄る若い男。
卓を囲む6つの瞳が1人の男の背後で止まった。
「今日も勝てそうだな……蜥蜴(とかげ)」
「ッ?!」
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