CHECKMATE


着替えを済ませた水島は、髪がまだしっとりと濡れたままの姿で部屋を後にした。

部屋に残された美穂。
大きな溜息を吐きながらベッドへ腰を下ろし、男へと電話を掛ける。

そして、電話を切り終った美穂はドアへと歩き始めた。

その頃、隣りの部屋では……。
隠しカメラで一部始終監視していた千葉と夏桜は、美穂が部屋から出る頃合いを見計らって一足先に部屋を出た。

エレベーターの到着を待ちながら美穂が姿を現すの待っていた。

千葉は特殊メイクを施し、少しワイルドな感じを演出する為髭面をしており、夏桜は長い髪を纏め上げ、愛らしいワンピースを着ている。

エレベーターが到着すると、3人は無言で乗り込んだ。

美穂が階数表示を見つめる中、千葉は夏桜の腰を抱き寄せ、如何にも恋人らしい雰囲気を醸し出している。

夏桜はまだ体調が優れず、リードする千葉に任せるように身を委ねていた。

ホテルを出た美穂はタクシーに乗り、ホテルを後にした。
美穂が乗り込んだタクシーを追うように1台の車が千葉と夏桜を拾う。

「マルツイ(追尾・追跡)しろ」
「了解」

運転手は三國である。
予め待機していた三國は2人を乗せ、軽快にハンドルを捌く。

そして、その車を追うようにもう1台の車の姿があった。

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