CHECKMATE
地べたに座り込む絵里を支えている美穂の手は、警察手帳を見た途端に震え出した。
自分が犯した罪の重さに恐怖に陥ったのであろう。
すると、
「刑事さんっ!!妹が犯した罪は決して許される事じゃありませんが、そうさせたのは、この私ですっ!!どうか、どうか………どうか妹を……っ……」
美穂に支えられていた姉の絵里が、アスファルトに頭を着ける勢いで必死に許しを請う。
通りすがる人々の視線も気にせず、何度も謝罪の言葉を口にする。
千葉はそんな絵里の目の前に跪き、
「ここは冷えます。詳しい事は署で伺いますので」
千葉が絵里の身体を支えるように腕を回すと、1台の車が直ぐ横に停車した。
運転席から降りて来たのは、三國である。
千葉達から少し離れた場所で待機して、様子を窺っていたのである。
歩行困難な絵里と放心状態の美穂を車に乗せ、車はその場を後にした。
その頃、木内が乗っている車を1台の車が追跡尾行していた。
運転手は剣持、助手席には神保が乗っている。
千葉達がホテルを出た際に、その後を追うように追走していたのである。
勿論、千葉達が遠張りしている間も近くに待機していた事になる。
いつ木内が現れるのか分らない為、いつでも尾行が出来るように予め別車両で待機していたという訳だ。
千葉達が美穂達の身柄を確保し、わざと木内を泳がせ(確保せずに監視する)追尾するのが作戦である。
その車は市街地から国道を走行し、郊外のとあるビルの前に停車した。