CHECKMATE
3◇相棒
警視庁のとある一室、特殊捜査チーム『S』の部屋では、前日からの捜査報告が行われている。
「猛、昨夜の状況を説明してくれ」
「はい。昨夜、江藤姉妹と繁華街で別れた木内は、S市のとある雑居ビルに入って行きました。そのビルは、1階から4階までがテナントとして営業しており、5階から7階は賃貸住宅となっています。1階はヘアサロン、2階はエステ・ネイルサロン、3階は鍼灸院、4階はイベント企画会社が入っています」
剣持は手帳に視線を落としながら、報告を続ける。
「テナントの詳しい状況に関しては現在の所、まだ分っていません。それから、調べた所によると、賃貸住宅の入居者の中には、木内の名前はありませんでした」
「そうか」
千葉は剣持から倉賀野に視線を移した。
「昨夜の木内の車輛をU号(車輌所有者照会)しましたが、やはりテンプラナンバー(偽造ナンバープレート)でした。現在、その出所を調べています」
「そうか。複数所有している所をみても、ケツ持ち(バックについている暴力団)の線が濃いな」
千葉のデスクを囲むように立つメンバーは、夏桜を除いて真剣な表情である。
夏桜はまだ不調のようで、相変わらず蒼白い顔をしている。
そんな中、水島が口を開いた。
「あの、班長」
「ん?」
「江藤美穂と姉の絵里は…………どうなりましたか?」