CHECKMATE
帰宅途中にスーパーに寄り、食材を買い込む夏桜。
そんな彼女を数歩離れた場所から護衛にあたる千葉。
いつもと変わらぬ光景だが、今日に限って夏桜は時折千葉に視線を送って寄こす。
それに気付いた千葉は、
「東、俺に何か用か?」
「…………いえ」
チラッと意味あり気な視線を向けられては、気になって仕方がない。
千葉は夏桜との距離を縮めて、小声で話し掛ける。
「俺がいたら買い辛い物でもあるのか?」
「あっ、いえ、そういう訳じゃありません」
「じゃあ、何だよ」
「…………」
千葉は夏桜の言葉を信じていなかった。
それは、刑事としての勘である。
用事はないと言うが、どう見ても何かしらあるような素振りを見せている。
千葉は夏桜をじっと見据えると、刑事の眼力に根負けした夏桜は、渋々口を開いた。
「千葉さんの、今日の夕食は何ですか?」
「は?俺の夕食?………そうだな、ラーメンかな?」
「…………」
千葉がしれっとした表情で呟いた言葉に、夏桜は眉根を寄せて反応した。
「それが、どうかしたのか?」
「…………いえ、何でもないです」
「何だよ、それ」
夏桜は千葉の言葉を軽くあしらい、再び食材選びを始めた。
買物を終え、マンションへ到着した2人。
千葉は、夏桜が部屋に入るのを見届けていると、