CHECKMATE
6時過ぎ、普段なら起床し出勤準備をする時間だが、さすがに今日はそうもいかない
夏桜はソファに腰掛け、自宅から持ち出した本を真剣な表情で見入っている。
その間に千葉は剣持に連絡を入れ、捜査の指示を出していた。
「夏桜」
「………ん?」
「少し休んだらどうだ?俺のベッドを遣えばいい。シーツは新しいのにしたから臭わないと思うけど」
「え?……プッ」
「何で笑うんだよ」
「だって、臭うとか言うんだもん」
「一応、これでも気を遣ったんだからな?」
「……うん、ありがとう。でも、今は眠くないから、一輝が寝たら?」
「あ、いや、俺はする事があるから」
「する事?………私もちょっと調べたい事があるから」
「そう言えば、そんな事を言ってたな。……調べたい事って?」
「………ん。実は、絵里さんから気になる事を聞いて」
「気になる事?」
「うん」
千葉は夏桜の隣りに腰掛け、彼女の話に耳を傾けた。
それは、クラブ勤務時代に定期的に行われた『健康診断』の話。
正社員で会社に勤務した事の無い絵里は、健康診断で行われる検査内容をよく把握していなかったらしい。
勤務先で指示されたモノを受ければいいと、安直に捉えていたに過ぎなかったらしく。
それが、最近になって異常だという事に気が付いたらしい。
「詳しく聞かせてくれ」
千葉は時折メモを取りながら、夏桜の考えを聞いていた。