CHECKMATE
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「鑑識の結果は?」
「はい。それが、指紋・DNA共に検出されませんでした」
「………やはりな。プロの犯行だろうからな」
「ですが、男女1名ずつの足跡痕を採取する事が出来ました」
「詳しく説明してくれ」
千葉は三國から鑑識結果を受取り、真剣な表情で読み取り始めた。
三國が採取したのは23㎝の女性のモノと思われる足跡痕と、27.5㎝の男性のモノと思われる足跡痕。
「現在特定を行っています」
「そうか」
千葉は再びファイルに視線を落とすと、
「班長」
「ん?」
「実は、もう1つ報告がありまして……」
「……何だ」
「それが、詳しく調べてみない事には断言出来ませんが、女の方が指示していたと思われます」
「……どういう事だ?」
「足跡痕は室内のあらゆる所に存在しますが、女のモノと思われる足跡痕は、どの部屋も歩き回っている様子は無く、女の指示で男が動き回った状態の足跡痕のようになっています」
「………それは、事実か?」
「はい。紫外線や3Dを使って、詳しく調べるつもりです」
女が主犯かもしれないという状況証拠に、千葉の片眉がピクリと反応した。
「それより、東さんは大丈夫なんですか?」
「あ?………あぁ、調べたい事があるらしく、空き巣に入られた事も忘れてるのかもしれないな」
自宅マンションから持ち帰った医学書数冊を読み漁る夏桜。
そんな彼女を眺めながら、千葉は小さな溜息を吐いていた。