CHECKMATE


その日の夕方、警視庁にあるチーム『S』の部屋では。

「皆、ちょっと集まってくれ」

千葉の一言でデスクに集まるメンバー。
張り込みをしていた神保と剣持の姿もそこにあった。

「実は、皆には隠していた事なんだが……」

千葉はメンバーの顔色を窺うようにゆっくりと口を開く。

「このチームが結成した意図は話したよな?」
「………密売組織を暴き、壊滅させるんですよね?」

千葉の真剣な表情を察して、剣持が口を開いた。

「そうだ。警視監の管理の下、俺らは密売組織を追っている。だがそれには、欠かせないキーパーソンがいるよな?」
「………夏桜さんですか?」
「あぁ、そうだ。刑事でも無い夏桜が加わる事に水島も疑問を抱いてたよな?」
「あっ、班長っ!それは、昔の話です。今は、東の事をちゃんとメンバーだと認識してますし、何より、東の洞察力には感服してるくらいですから」
「そうだな。俺も水島と同意見だ。………今から話す事はカク秘(最上級極秘事項)だから、命に代えても口外するな、いいな?」
「「「「「 はい 」」」」」

夏桜以外のメンバーが一様に返事をする。

「実は――――………―――」

千葉は警視監からの指示の下、夏桜の個人データと共に隠されていた極秘事項をメンバーに伝えた。

それは、夏桜の身柄安全確保が最重要だと改めて認識した事であった。

千葉1人で夏桜の命を守るのは危険過ぎると判断した結果、チーム一丸となって夏桜を護衛する事にしたのである。

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