CHECKMATE


千葉から改めて極秘任務が言い渡されたメンバー。
一様に夏桜を見る視線が鋭くなった。
それは壊れ物を扱うような、劇物を扱うような、そして、何とも言えぬ憐みの視線であった。

そんな視線に耐え兼ね、夏桜は深々と頭を下げた。

「国家公務員である以上、任務を遂行しようとするお気持ちはお察し致しますが、ですが、『命』に勝るモノはありません。どうか、私の為に命を粗末にしないで下さい」

自分の命ほど、恨めしいと思った事が無い夏桜。
出来る事なら今すぐ命を絶ちたい所である。

だが、生きていれば………一瞬でも『倖せ』だと感じる事が出来るのでは?と思い、今日まで必死に生きて来た。

そんな夏桜を真っ直ぐ見つめ、千葉はこう告げた。

「国民の生活を守るのが俺らの使命だ。たまたま、俺らの前にちょっとばかりデキる女が現れ、偶然にもその女を守る事になった………ただ、それだけの事だろ。違うか?」

千葉は剣持に視線を送ると、

「そうっすよね?………って事は、2人は付き合ってないって事ですか?」
「あ?………まぁ、そういう事だな」
「マジっすか?!どう見ても、恋人にしか見えないっすよ?」
「んじゃあ、そういう事にしとけ」
「い~やっ、ダメっす!!一輝さんの女じゃないなら、俺が夏桜さんの彼氏になるんで!」
「フッ、それはどうかな?決めるのは、夏桜だろ」
「あっ、そういう事なら、俺も立候補しますっ!」
「何だ、水島もか?………他には?倉賀野と三國はいいのか?」
「「えっ?」」

唖然とする2人をよそに、千葉は不敵に微笑みながら……。

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