CHECKMATE
「本当は護衛して貰う事さえ嫌なんだけど。だけど、どうしてもと言うなら、1人で十分。私が他の誰かを選んだとして、万が一私の身に何かが起きた時、その人は勿論の事、あなたも責任を負わされるでしょ?」
「…………まぁ、そうだな」
「だったら、最初から相手を一輝にしておけば、他の人に被害が加わるのを最小限で抑えられる」
「………」
「それに、病気の事を隠しておいてくれて……ありがとう」
「いや、それは警視監からの指示で……」
「だからよ。結局は、私の個人データの全てを知っているのは一輝、あなただけだから……。嫌な任務を負わせて、本当にごめんなさい」
夏桜は下げた顔をゆっくりと持ち上げ、真っ直ぐと千葉の瞳を見据えた。
すると、
「いや、俺を選んでくれて感謝してる。アイツらに、出来るだけ危険な橋を渡らせたくないのは俺も同じだ」
「だからと言ったら虫が良すぎるのかもしれないけど、護衛してもらう見返りに、食事や掃除とかなら私がするから……」
「えっ?」
「だから、………ここに置いて貰えないかしら?」
「……………」
夏桜の言葉に固まる千葉。
さすがに、2~3日の意味合いでお願いされたのではないと悟り、返答に困り果てる。
すると、夏桜は書き途中の紙を千葉の前に差し出し、ある提案をして来たのだ。
一通りの説明を受けた千葉は、夏桜の提案を受け入れる事にしたのである。
かくして、公私共に行動を共にする事となった千葉と夏桜。
2人の間に見えない絆が生まれた瞬間であった。